小沢剛 透明ランナーは走り続ける

小沢剛 透明ランナーは走り続ける」、広島市現代美術館

現代美術館で先週からかかっている展覧会がこれ。作家本人のトークが2日の日曜日にあったので、行ってきた。

作品は、牛乳箱をミニ画廊に見立てていろんな人の作品をおいた「なすび画廊」とか、いろんな場所に小さい地蔵を置いたり、地蔵の形をした紙を貼り付けて写真を撮る「地蔵建立」とか、野菜をライフルの格好に仕立てて写真を撮り、後でお鍋にして食べるとか、はるばる遠いところに出かけていって、ペットボトルを拾って、それを加工して絨毯にするとか、まあそういうもの。

けっこうメッセージ性の強い作品が多く、展示品に付けられた説明だけ読んでいると、「けっ」と思うようなものがわりとあるのだが、作家自身のトークがけっこうおもしろく、それを聞いているとメッセージがあんまりイヤミにならない。例えばペットボトルを絨毯にする企画は、ひらたく言えばリサイクルなのだが、元はゴミ拾いを作品のテーマにするつもりで行ったら、絨毯工場からは「ペットボトルしかリサイクルの原料にはならないので、他のものは持ち込むな」と言われ、他のゴミは無視してペットボトルだけ拾おうとしたら、ろくに数が集まらなくて困った、というようなおはなし。

作家はひげもじゃのおじさんというかおにいさんというかなのだが(1965年生まれ)、わりと照れ屋で自分の作品を口で説明するということがどうも居心地がよくないらしく、そういう感じも好きになった。

下のフロアに「ふとん山」というざぶとんをやたら積み上げて山をつくり、その下に筒を通してトンネルをつくっているという、子供の遊び用企画(これも小沢の作品)があり、子供がきゃーきゃーいいながら登ってよろこんでいた。ちょっと子供心をくすぐられてなごんでしまった。

作品のほとんどは、絵ではないのだが、もとは油絵を描いていたらしく、ドローイングとかは確かにうまい。こんなに上手く描けるのにもったいない・・・と自分では思うが、作家はそういうところにはもはやこだわっていないのだろう。