おでかけセレビッチ

辛酸なめ子『おでかけセレビッチ ヨコモレ通信2』、文藝春秋、2007

週刊文春の連載「ヨコモレ通信」の2005年から2006年分をまとめた2冊目。この連載は読んでない(というか週刊文春はほとんど読んでない)ので、とりあえず損した感はなし(図書館で借りているので、損も得もあったもんじゃないけど)。表紙は、表題通り、金髪ロングヘアーのウィッグをつけ、サングラスをかけ、唇をショッキングピンクに塗って、片手にコーヒー、片手に携帯のなめ子様のお姿が。単なるビッチのような気もするが、こういうのがなめ子イメージの「セレブ+ビッチ=セレビッチ」なのか?

内容は、毎回取材リポートなので、けっこうたいへんそうである。静岡の茶摘みから、ららぽーとのパン屋、横浜のハロプロイベントまで、どこでも出かけるなめ子様。往復も含めて半日から一日仕事だろう。週刊誌連載もたいへんである。

わたし的には、「日本屈指のセレブマダム、節子・クロソフスカ・ド・ローラさんが、優雅な暮らしと芸術作品を披露した」イベント、「節子の暮らし─和の心展」というのに気持ちがひっかかった。誰かと思ったらバルテュスの未亡人だったのね。変わった名前は、バルテュスの本名から来ているらしい。自身も絵を描くそうなので、それが展示されているのはわかるが、「暮らし」の展示会って・・・。セレブというのはそういうものか。

ネタはいろいろあるのだが、辛酸なめ子の本としておもしろいかというと、それほどでもない。やはり辛酸なめ子は本人そのものがおもしろいので、本人がほんとうに気に入ったネタでないと、文章に気持ちが入らないのだと思う。週刊誌でちょこっと読むにはちょうどいいサイズだとは思うが。