自立日記

辛酸なめ子『自立日記』、洋泉社、2002

辛酸なめ子の、マンガではない文章本としては初めての単行本。内容は1999年から2001年までのウェブ日記。表紙をめくった扉になめ子様のバスタオル一枚の写真が・・・。これはいったい何?「裸の私を見て」という暗示?

皇室ファンはあいかわらずだが、99年の天皇ご即位十周年記念行事に行って、「心底疲れた。フランス民衆のようにこの機会に革命を起こせば良かったと思いました」などと物騒なことを書いている。そんなに売れていない時期の日記だからか、全体としてテンション低く、ダウン気味の文章が続く。とはいっても、もともとそんなに前向きなことを書く人じゃないので、そんなに気にならない。

中学高校、つまり女子学院の友人とよく会っているようだが、膳場貴子が現れた時は、成功していてオーラがキラキラの同窓生に対するそこはかとない微妙な反応が。ほかにも、ようやく埼玉の実家を出て荒川区に引っ越して友だちを呼んだら、「埼玉出身だから、荒川区でも平気なんだね」と言われてへこみまくったりしている。成功者がたくさんいる有名校を出ると、後々のつきあいが大変なのか、と思うと、そういう学校に入ったからといってあながち喜べない。まあ、この鬱屈した感情があるから、今の辛酸なめ子がいるわけなので、どっちがいいのかよくわからないが。