女の人生すごろく

辛酸なめ子『女の人生すごろく』、マガジンハウス、2008

図書館に予約を入れておいたらやってきた次のなめ子本。表紙にすごろくが印刷されていて、本の一節ずつにすごろくの進行指示が書いてあり、そのとおりに動いていくとすごろくが楽しめて、すごろくのマス目の点数を合計すると、最後に「あなたのアンチエイジング度」が出てくる、という趣向。

内容は、学生のコマ、キャリアのコマ、結婚のコマ、晩年のコマ、と人生すごろくを順にたどっているようで、実際はエッセイと取材がまざっていたりしていてあまり統一性がない。最後の初出一覧を見ると、バラバラなところに書いた文章を再編集したもので、最初から単一の連載を本にしたものではないらしい。

あいかわらずいろんな自虐プレイをやっていて、「逆リバウンドダイエット」という、わざと着ぶくれしてから運動して、最後に詰め物をとった己の姿を見て安心する(著者自身による実践写真つき)技とか、予算15万円をもらって109で4時間半かけて買い物をし、その衣装で変身してみせる「即席ギャルに変身」(これも実演写真付き。服とメイクで人間、どうにでも変わるという事実を実感)とか、いろんな企画ものがある。

それより読んでておもしろかったのは、ほとんど自炊しない言い訳(人間はもともと調理などしていなくても食べられるものしか食べていなかったのだから、才能のある人だけが料理をして、他の人は完成品をお金を払って食べるのが吉、というもの)とか、30年間一度も弁当をつくったことがないという告白とか、そういうもの。

あと、この本で「霞ん」さんによる「キャラ弁」「ギャク弁」なるものをはじめて知った。このYahoo!ブログに載っているのだが、これは弁当という題材を使った本物のアートである。生半可な根性ではできない技だと思うが、これをずっと続ける気力はただものではない。
http://blogs.yahoo.co.jp/kasumin_yorosiku