女修行

辛酸なめ子『女修行』、インフォバーン、2007

図書館で『消費セラピー』を借りたついでに、いっしょに借りてきたもの。こっちはおでかけ取材もので、辛酸なめ子が女をあげるために、いろいろなところに「女を磨きに行く」というもの。

カヒミ・カリィに美の秘訣を学ぶところから始まり、保育園、ベリーダンス、水商売ほかいろいろあるのだが、一番おもしろかったのは「護身術」と「社交界デビュー」のところ。「護身術」は著者いうところの「淫獣」の性欲から身を守るという妄想がてんこもり。「社交界デビュー」は、要するにセレブの集まる慈善パーティーだが、確かに話が持たなさそうなところでどうやって話をさっさと切り上げるかがたいへんな感じ。

かなりこまかく注がついていて、これがけっこう笑える。辛酸なめ子は、ライターの中でもまめな人だと思う(まめでないと年に何冊も本は出ないだろうけど)。それに装丁がよい。赤の濃いえんじ色にピンクで文字が書かれ、なぜか題名のフランス語訳つき。

相変わらずの自虐本だが、特にこの本では「修行」がテーマの分、自虐レベルが高まっていて、楽しく読める。ネタは著者が疎外感を覚えるようなものが多し。そして最後が「親の介護を考える」で終わっているところもしぶい。図書館には、ほかにもなめ子本を数冊リクエストしているので、届くのが待ち遠しい。