消費セラピー

辛酸なめ子『消費セラピー』、集英社文庫、2006

職場の書店になぜかこの本が平積みされていた。表紙は著者自身がティアラをつけ、いかにもお姫様っぽい衣装をつけているというもので、明らかに元紀宮様こと黒田清子氏のイメージコスプレである(実際に、本文中に黒田清子氏の結婚式と同日に著者が、式場と同じ帝国ホテルで結婚式をテレビで鑑賞、という話が出てくる。同じコスプレでの写真も掲載)。あやうく買うところだったが、奥付で出版が2006年だったことを知って図書館にGO。ちゃんとおいてあった。こういうところで図書館は便利である。

内容だが、辛酸なめ子が自腹でいろいろな買い物をして、それがどのくらい心の癒しに貢献したかを採点するというもの。火星の土地の権利書とか、意味不明なものもいっぱい買っているのだが、やはり一番おもしろいのは、サーヤ姫の結婚式同時体験ごっこ。ただコスプレで遊ぶだけでなく、サーヤ姫の車列の見送り(当然ほとんど見えない)から、記帳、皇室パパラッチの小母様らの見物など、盛りだくさんのプログラムである。一部のおじさんおばさんに「写真を一緒に撮って」と言われた以外、お姫様コスプレはほとんど無視され、皇室ネタの難しさを実感するくだりも笑える。ここの部分だけカラー写真が満載で、著者のサーヤ姫への思い入れのなみなみならぬことが伺える。

この部分の後に、高校時代の友人の結婚式の余興で、あろうことかペニスケースをつけてHGならぬ、ハードレズネタのコントをやる話が出てくる。傍目にはまるっきりすべっているとしか見えないのだが、それが癒しになったのかどうかは書いていないのでさだかではない。