オバマ大統領

村田晃嗣渡辺靖オバマ大統領 ブラック・ケネディになれるのか』、文春新書、2009

2008年12月の対談を本にしたものなので、その時点までのオバマ論。従って、具体的にオバマが何をしたかという話はあまりなく、オバマがどういうバックグラウンドを持っていて、どのように選挙戦を戦ってきたかという話が中心。黒人だということを遠回しに繰り返し個人攻撃の目標にされ、それがかえって当選に幸いしたという話はなるほどと思う。また、なんだかんだといっても、オバマは黒人の底辺層のことはほとんどわかっておらず、その層の支持をつかむことにはこれまでも失敗してきたという話にはなっとく。

対アジア政策では、基本的に優先順位が低いので、これまでと大幅に違ったことをする可能性は低いだろうという説、また中国と日本を比べてアメリカがどちらを優遇するかというような議論に走るのは止めた方がいいという話には納得。それにしても村田はまあ親米派という枠の中でバランスのとれた話をしていると思うが、渡辺はちょっとオバマ個人に対して感情的なシンパシーが過ぎていないか?