大名庭園展

大名庭園展 知られざるサムライ・アート」、広島県立美術館

この前の日曜日までやっていた展覧会。庭の展覧会といっても、何を展示するのかと思っていたが、庭の風景を描いた絵画や見取り図のほか、庭園のガーデンライフに使われた道具類(楽器や茶器なども)、庭を一種の自然博物館として利用しようとした試みを示す、動物や植物の精細な絵(芸術志向というより、図鑑のイラストのようなもの)などがいろいろと並べてあった。

この美術館に隣接する大名庭園縮景園が近々開園400周年を迎えるので、その記念という意味もあるようだ。展示品の三分の一くらいは縮景園関係のもの。もともと、この県立美術館は明治以降も浅野家の所有物だった縮景園の付属施設で、それが県に寄付されてできたものなので、この美術館の由来を説明する展示にもなっている。

この縮景園のほかには、尾張家の庭園だった戸山荘、高松松平家の栗林園、金沢の兼六園などなど、いくつかのお庭の様子が見られる。とにかく面積が広い。調馬や動植物の育成、町人街を模した小さな町(実物大)とかがあって、鑑賞用だけでなく、庭がいろんな機能をもっていたことがわかるようになっている。

明治以降の大名庭園は、名勝指定されたり皇室所有になったりしたいくつかの例外を除くとほとんどが消えてなくなってしまった。まあ、庭は手入れが大変なので、維持費を出し続けるのも容易ではないのだろう。現在のこっている大名庭園は(それも多くは戦災で焼けた後に再建されたもの)、江戸時代の様子を残しているタイムカプセルみたいなものである。三名園は行ったのだが、栗林公園にはまだ行ったことがないので、ぜひ行かないと。帰りに江戸時代の主要な街道や航路がのっている交通図を買って帰った。これをながめるのもまた楽しい。