blue

「blue」、市川実日子、小西真奈美ほか出演、安藤尋監督、blue PRODUCTION PARTNERSHIP、2001

原作は魚喃キリコのマンガ。魚喃原作の映画化はこれがはじめてだったらしい。市川と小西は女子高の同級生で、小西は留年して一年落ちてきているのだが、その大人っぽい雰囲気に市川が半分友情、半分恋愛のような感情をもち、それから二人の関係にいろいろあって、というおはなし。もっとも二人の関係は軽いキス程度で、同性愛というところまではいかない。

市川実日子は無愛想できっつい感じの役。その後もこういう役が多い人だが、わりとはじめのうちからそういうイメージだったようだ。そして、いかにも高校生な役。つまり純粋といえば聞こえがいいが、人間関係の基本がわかってないので幼い。それでも失敗する中で絵を描こうと発心して、そこから立ち直っていく。市川のちょっと中性的で未成熟な感じは、ちょうどこの役にはまっている。

小西真奈美は、市川から見ると大人びて見えるが、実際にはそれは単につきあっている妻子持ちの男の趣味をそのままコピーしているからそう見えるだけのことで、本人は男に振り回され、もはや積極的に生きる意欲もなくしてしまった女という役。小西真奈美は市川実日子に比べるとかなり「女」に振ったイメージで、この気力のなさは、いかにもありそうな感じ。

最近は青春映画が明るめにつくられることが多いので、こういう幼さ、挫折、成長というパターンは逆に新鮮に感じる（昔はだいたいそういう感じの映画が多かったが）。こういう未成熟さをまともに扱った作品はもっといろいろ作られてもいいのに、と思う。