本当はどうなの?今の北朝鮮

鄭銀淑『本当はどうなの?今の北朝鮮』、中経の文庫、2008

著者は1967年生まれの韓国人。日本留学後、ソウルで執筆、翻訳、取材コーディネートを行う、とある。北朝鮮の専門家というわけではないが、延吉、開城への旅行や、脱北者へのインタビュー、韓国で出版された文献が主な情報源のようだ。翻訳ではなく、著者自身が日本語で書いた本。

基本的に、「韓国人が興味を持ちそうな北朝鮮情報」について書かれているので、北朝鮮の住民生活に関する小ネタが多く拾われている。あまり政治の話を専門家でない人に書いてもらっても意味はないので、それはそれでいいのだが、北朝鮮で人気の韓国のテレビ番組の話とか、北朝鮮の冷麺と韓国の冷麺の違いとか、日本人読者には関心が薄そうな話題が多い。

また、北朝鮮での生活に関する話題については、「いつの時期、どの地域での話なのか」がちゃんと書いていないところが多く、その部分の情報価値は低い。ただ、北朝鮮国内で流通している「アネクドート」がいろいろ紹介されていて、その部分はおもしろく読める。