精神科医は腹の底で何を考えているか

春日武彦精神科医は腹の底で何を考えているか』、幻冬舎新書、2009

精神科医の著者による「精神科医100態」。精神科医がどのように患者に接しているのか、どういうスタンスで「心の病気」に向き合っているのか、ということを「医者の立場で」説明してくれる。

特別驚くようなことが書いてあるわけではないが、患者が自分が病気であって、医者の指示に従わなくてはいけないということを自覚している、他の病気と違ってそういう前提がない心の病気を扱う医者がどのように特別なのか、ということはよくわかる。まあ医者の業界の中でも特殊な立場の職人さんである。著者自身、精神科医には半分文化人のようなスタンスでラクにやっていく人もいれば、救急や症状の重い患者にあたってきつい生活を送る人もいるといっているが、そういう立場の取り方も含め、変わっている、興味深い、ということは強く感じる。著者は、業界以外からは色眼鏡で見られやすいこの職業に携わっている人が、どういう問題を抱え、どういう態度で職業生活を送っているかを、もっと知ってほしいと思っているのだろう。自分としては、読んで面白かったし、精神科医への親しみも増したように感じる。