「自分」から自由になる沈黙入門

小池龍之介『「自分」から自由になる沈黙入門』、幻冬舎、2008

僧侶で「イエデカフェ」を主宰していた著者による、仏教的修行法のワークブック。日本の伝統仏教からちょっと離れたような形で書かれていて、体裁もが、内容は非常に仏教的。あとがきでは、「宗派仏教に枝分かれしてしまう前の、もともとの仏道に伝わる瞑想法のいくつか」とある。イラストは可愛い系だなーと思っていたら、著者が自分で描いている。

本の題名通り、「自分」から自由になるという趣旨でいろいろな仏道的修養の実践が書かれている。が、これは自分にはむずかしい(実際、著者もやってみるとむずかしいよ、と書いている)。何かにケチをつけるのをやめる、ということからしてむずかしい(そもそもこのブログはそんなことばかり書いているのに)。確かに、ケチをつけるというのは、そのことを通じて自分を声高に語っているのだから、そういうことをまずやめましょう、というのは仏教的な立場からはそうなるだろうということは理解できる。ただそれを実践しなさい、と言われると、自分にはかなり遠いところに行くことが要求されているように思う(著者がすすめているのは、まさにそれだということなのだろう)。

あと、著者の文体が自分にはいまひとつなじめないのだが・・・。こんなことをあげつらっていることもいけないのだと思う。しかしこの違和感はなんともしがたいものがあるのだ。しょうがないでしょ。