ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画

ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」、国立西洋美術館

宣伝コピーの、「これぞルーヴル これぞヨーロッパ絵画の王道」そのまんまという展覧会。こっちは20分待ちだったが、恐竜や阿修羅像に比べたらそんなに大したことはない。17世紀の主要な画家達が広く網羅されていて、レンブラント、ベラスケス、フェルメールルーベンスプッサン、ラトゥールらの絵が70点ほど展示されている。集中して見るのはこのくらいの規模が限度なので、その点もよかった。とにかく上手な絵しかないので、1点1点気を抜けない。

テーマが三つ、「黄金の世紀とその陰」、「大航海と科学革命」、「聖人の世紀における古代文明の遺産」と設定されていて、そのテーマごとに絵が並べられている。フェルメール「レースを編む女」のところは人だかりがすごかった(これも本邦初公開とのこと)が、自分としてはハルス「リュートを持つ道化師」が好き。メトロポリタン美術館でもネーデルラント絵画の部屋でひときわ目立っていたのがハルス。明るい色調と人物の動きを一瞬で捕まえた名品。あと、ファルコーネの「トルコ軍と騎兵隊の戦い」。銃隊や大砲のひとつひとつまで、書き込み細かい。三十年戦争の頃の戦争はこういうものだったんだよという記録写真みたいな絵で、これもおもしろかった。

それからカトリーヌ・ド・メディシスや、マルガリータ王女のような王家の人々の肖像画は大迫力で回りを圧している。18世紀になると王は首を切られてしまうわけなので、王がほんとうに偉かったことをそのまま実感できることが絵のすごさ。

パリで勉強した絵描きは、ルーブルに日参して、古典の傑作をずっと眺めて目と感覚を養っていたのだろう。そのためには「ちょっと上手い絵」「趣向がおもしろい絵」ではだめで、本当に上手い絵、大のつく傑作があってこそ審美眼が磨かれるのである。この展覧会は東京の次は京都に来るので、そっちも行ってしまう予定。混んでいると言っても東京よりはましだろう。