わが愛 北海道

「わが愛 北海道」、黒木和雄監督、岩波映画、1962

黒木和雄の最初期のドキュメンタリー映画北海道電力創立10周年記念のPR映画である。といっても、自分は、黒木和雄の映画は70年代のATG製作のものしか見ておらず、晩年の「美しい夏キリシマ」「父と暮らせば」「紙屋悦子の青春」あたりはぜんぜん見ていない。

北海道電力、というより北海道という地域のPR映画なので、60年代初めの北海道のいろんな風景が映っていてそれだけでけっこうおもしろい。石炭産業はすでに衰退しつつあるが、開拓、酪農(「パイロットファーム」とか、昔小学校の授業で習ったのを思い出す)、製鉄などの産業、町や原野の風景がずっと映っていて、昔の北海道の姿がよくわかる。

一番驚いたのは札幌の人口が60万人とナレーション(これは木村功)でいっていたところ。調べてみると1950年の札幌市の人口は31万人しかいない(それでも道内1位だが)。10年で2倍になったのである。それでも今の札幌市の人口は約190万人なので、札幌の成長がどのくらいたいへんなものだったかがわかる。実際、映画の中の札幌は、整然とした道路は今と変わらないがまあ田舎。1960年代初頭なんて、どこもこんなものかもしれないが。
ちなみに道内各市の人口成長についてのサイトがこれ。
http://pucchi.net/hokkaido/geo/population01.php

映画は北海道の季節感にあふれているところもなかなかよし。女の子を出してきたりして演出をちょっと工夫しているが、その部分はなくてもおもしろい。