国宝 阿修羅展

「国宝 阿修羅展」、東京国立博物館

上野駅できっぷを買って、博物館の前に着いたら、「50分待ちです」という呼びかけの声が…。そうと知っていれば来るんじゃなかった、と思ったが、きっぷは買ってしまったし、もう遅い。まあ並んでみると、もうちょっと短くてすんだけど。

でも、これは行ってよかった。そんなの興福寺に行けば見られるじゃないの、とも思ったが、こういう形で展示され、解説付きで見せてもらえると、寺で見るのとはすこし違った感じがする。興福寺は、金堂を建て替えて、創建当時にあった「中金堂」を建てようとしているそうで、この展覧会はそのための資金集めの一環らしい。貫主猊下自らお越しになって講演もされるそうだ。

最初のところは、中金堂の基部から出土した地鎮のための奉納具、「鎮壇具」。皿やら銅銭やら金の延べ板やらそんなもの。その次に藤原不比等の夫人の念持仏だったという法隆寺阿弥陀三尊像があって、いよいよ今回の主役、阿修羅様。人がわんさか阿修羅様の周りを取り巻いていて、ここだけ人数制限がかかっていた。阿修羅様は戦の神に似合わぬ静かなお顔。これまでの罪を懺悔して仏に帰依するところを像にしたのだとか。腕や体のすらっとした線、少年のような表情。見飽きることのない傑作である。

阿修羅様の次の部屋には、向かって右に十大弟子(うち六体)、左に八部衆(うち七体)。十大弟子は、落ち着いていて、力に満ちたお顔。八部衆(阿修羅様もこの一体)は、少年のようなあどけなさの残るお顔。これだけどーんと並べられると迫力がすごい。

次の部屋には、釈迦如来坐像(頭部)、薬王・薬上菩薩立像、四天王像。四天王は表情、からだの線、邪鬼を踏みしだく力強い足、言うことなしのすばらしさ。今回の展示の中では阿修羅様の次に好き。薬王、薬上菩薩はとにかく大きい。これだけは巡回してくる九国には来ないそうなので、こっちにきてよかった。

ニュースにもなっていた、海洋堂制作の阿修羅像、注文はしなかったのだが、追加生産はなし、4月中に売り切れの見込みなのだそうだ。14センチのてのひらサイズ。3000円でこの出来だから高くはない。買っておくのだったと今になって大後悔。