よみがえる黄金文明展

「よみがえる黄金文明展 ~ブルガリアに眠る古代トラキアの秘宝~」、広島県立美術館

古代トラキアの遺物の展覧会。鉄や青銅の器物もあるが、多くは金。紀元前五千年紀の王錫や腕輪なんていうとんでもなく古いものがある。金器としては世界最古という話。王錫は、両端の金の部分だけが残っていて、間の部分は欠けているが、そんな時代から金を掘り出して加工していたということ自体がたいへんな話である。

それから2004年に発掘されたばかりだという「トラキア王の金のマスク」。これが今回の展覧会の目玉だが、髪や髭のこまかい細工がほどこされた豪奢なマスク。紀元前5世紀後半というからペロポネソス戦争のころか。器物の模様の多くはギリシャ神話の登場人物で、ギリシャ文明の強い影響がうかがわれる。リュトンもいくつかあって、先年ペルシャ文明展で見たものとそっくり。文明の交わるところには、いろんなものが集まっていておもしろい。とにかく、金の器物はやたらたくさんあり、ひとつひとつの細工が手の込んだものばかり。金なので、昨日つくったばかりのようにきれいだし。これは行く価値のある展覧会。ギャラリートークのある日に行けなかったのがざんねん。

出口のおみやげショップで、ブルガリア産のバラの香水入りのハンドクリームというものを買ってみた。これがほんの少しつけただけでとても強い香りがする。ブルガリアといえば、バラ油の産地だもんね。まあ少し手に塗りのばして、香りをたのしむのにはちょうどよし。いつかバラ祭にいってみたいけど。