神道入門

井上順孝神道入門 日本人にとって神とは何か』、平凡社新書、2006

神道についての概説的な紹介書。著者によれば、「情報コミュニケーションの中での神道」という視点と、「神社、神職、教義のような見える神道と、家や地域共同体と神道の関わりのような見えない神道」の二つの観点から神道を見る、という立場でこの本を書いたのだという。

明治期までの歴史的な流れを紹介する部分については、まとまっていて勉強になった。「神道に込められた<情報>」の章は、まあ「カミ」概念の変遷みたいな内容だが、これはこれでおもしろかった。ただ、「見えない神道」、つまり、個々の人間や地域社会が神道とどう関わっているかを扱っている章は、読んでいておもしろい部分もあるのだが、「それって、神道と言えるのか?」という部分もけっこうあって、どう考えていいのか困る。例えば携帯電話の普及が神道と何か関係あるのか、とか、霊能者、祈祷師と神道がどういう関係にあるのか、いまいちよくわからない、とか。

あまり分析的な本ではないので、そのあたりは流せばいいのかもしれない。手元の本は2刷だが、正誤表がはさんであって、校正をあまりちゃんとやってなかったことがうかがわれる。