ビゼー「カルメン」

ビゼーカルメン」、グレース・バンブリー(カルメン)、ジョン・ヴィッカーズ(ホセ)ほか出演、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団ウィーン国立歌劇場合唱団、カラヤン監督、1967

昨日(今朝)のクラシックロイヤルシートでかかったカルメン、2幕まで見て、後で録画したもので3幕、4幕を見た。1967年ルツェルン音楽祭での録画となっているが、ライブの録画ではなく、映画として製作されたもの。

はじめのところは、いまいちキレがないなあと思っていたが、バンブリーのカルメンが出てきてから印象が変わった。この時ちょうど30歳か。特に外連味のない演技だが、堂々としていて風格十分。歌はうまいし、なにより声がカルメン向きである。かなりいいと思う。

ヴィッカーズのホセは、ちょっともっさりしていて、おじさんっぽいホセだが、そこがある意味ホセっぽくていい。「アルカラの竜騎兵」のところは声が通っていてさわやか。エスカミーリョは、フスティーノ・ディアス。これはまあまあかな。

あと、よかったのは3幕のカード占いの歌。メルセデスとフラスキータかわいいよ。4幕の幕開きの合唱も盛り上がってる。2幕では、「アルルの女」のファランドールで、スペイン舞踊団が踊っている場面があって、ここも見物。

しかし「ラインの黄金」を見たときにも思ったのだが、せっかく映画として制作しているのに、ふつうの舞台をちょっと工夫した程度で、映像が映画としてのそれになっていない。最初からプロの映画監督にやらせて、視覚効果や美術ももっとお金をかければいいのに。カラヤンも映像方面ではふつうの人だったということか。演奏はいいのに、もったいない。

それと、これは制作側の問題ではないのだが、字幕!いくら最近政治的にうるさいからって、「ロマ」じゃ感じが出ないの!古典くらい「ジプシー」でいいではないか。NHKだから?ほんとに、古典芸術で「ロマ」とか言ってるのを見ると殺意が湧くなあ。字幕担当の増田ユリ子、あんたのことですよ。