在日米軍司令部

在日米軍司令部』春原剛、新潮社、2008

在日米軍司令部」という組織の機能とその変遷から、在日米軍の役割や日本との関係を描き出した本。「在日米軍司令部は軍政機関で、運用上の権限はなく、司令官は米軍の『対日渉外係』」と単に考えていた(それらは確かに事実の一面ではあるが)、自分の認識が浅かったことを反省させられた。

在日米軍司令部の実際の仕事はどういうものか、司令官は何をしているか、在日米大使との関係、司令官ポストの米軍内部での取り合いといったことを通じて、このくらい様々なことがわかる、というのはやはり著者の取材力の賜物。米軍再編、ミサイル防衛、F4後継機問題などの最新のトピックについても、在日米軍との関わりがどういうものかについて、きちんとフォローされている。また、中国に対する日米同盟の齟齬についても、きちんと指摘されていて、この問題が同盟の大きなアキレス腱になっていることが強調されている。

日米安全保障協力の問題に関心をもつ人にとっては読んでおかなければならない本。