裁判中毒

『裁判中毒 傍聴暦25年の驚愕秘録』今井亮一角川Oneテーマ21、2008

近頃よく出るようになった裁判傍聴記。著者はオービス裁判その他の交通違反裁判で有名な人。だいたいは負ける裁判を身銭切ってやっているわけだから、基本的に裁判が好きな人だろうとは思っていたが、やはりそのとおり。交通違反の裁判となると、簡易裁判所の審理も見なければいけないから、事件としてはあまりドラマ性がないものも見なければいけないはず。こういう作業をまめに出来るということは、やはりもともと裁判が好きなのである。

北尾トロの本を読んでいても思うのだが、裁判傍聴を趣味にしている人はとにかくマメ。この本も、長く裁判を傍聴していないとわからない内容が豊富。これが職業になっている法曹だと、「何がおもしろくて何がおもしろくないか」という視点がないから、それほどおもしろいものは書けないだろうと思う。コラムには、「検察統計年報」に出ている判決の統計資料なども出ていて、参考になる。上級審でひっくり返されることを承知で、あえて型破りな判決を書く裁判官のエピソードにはちょっとじんとする。平日、ひまな日があれば、自分も行ってみたいのだけれど。