日本に足りない軍事力

『日本に足りない軍事力』江畑謙介、青春新書、2008

ミサイル防衛、長距離攻撃、対地精密攻撃、戦力投射、宇宙戦・サイバー戦の五分野について、いまの自衛隊が何を持っていて、何ができないかを解説した本。ミサイル防衛の項では、弾道ミサイル防衛だけでなく、巡航ミサイルの対策についても細かく論じられている。また北朝鮮からの弾道ミサイル攻撃を、発射基地を先制して阻止することは、その手段が現在ないだけでなく、核兵器や敵地に侵入可能な大型爆撃機を持てる見込みが立たない現状では、将来も現実的ではないことが説明されている。

兵器システムの説明が煩瑣な印象もあるが、「かけ声は勇ましくても、現実的にできることをあまりやっていない」ことがよくわかるという意味で、参考になる本。憲法論議以前に、できることでやっていないことが多すぎる。予算の使い方も、説明不足はもちろん、やっていることが意味不明である。誰が誰に遠慮して、予算をムダにしているのか?民主党にもまともな見識のある人はいるのだから、こういうところをもっと国会で問題にしなければならないと思うが。