赤い文化住宅の初子

「赤い文化住宅の初子」、東亜優、塩谷瞬ほか出演、タナダユキ監督、松田洋子・太田出版、「赤い文化住宅の初子」フィルムパートナーズ、2007

この映画を見てからあらためて原作を読み直してみたが、かなり原作に忠実に映画化されている。初子役の東亜優は、もうちょっとブサイクなほうが原作には近いかもしれないが、意志のなさそうなところがこの役にあっている。初子の中学校の担任役は坂井真紀か。インチキくさくて非常によい演技。俳優は、みんなきちんと役をこなしている。

登場人物はみな広島弁を使うので広島の話かと思っていたら、原作では福山近郊という設定だった。この映画でも、はっきりそうはいっていないが、映りこむ背景でちゃんと福山とわかるようにしてある。ほんとうは福山だと言葉はちょっと違うと思うが、原作どおりなのでやむを得ない。音楽はかなりよい。UAが作っているようだ。

原作の絵柄でかなり主人公の薄幸感が強調されていたが、映画ではそこまでではない。その分テイストが薄まっているようでもあるが、初子の周りの人々（三島くんは除く）のどうしようもなさで、そこはカバーされている。まあ良作といえる。ちょっと検索していたら、原作者のブログがあった。福山公開で舞台挨拶をしていたらしい。知っていれば行ったのに。
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