株とギャンブルはどう違うのか

『株とギャンブルはどう違うのか─資産価値の経済学』三土修平ちくま新書、2008

著者は、以前靖国問題についての本を読んで知っていたのだが、本職は経済学者なのでこういう本も書いていたのでした。基本的なテーマは、「株の価格はどのようにして決まるのか」である。資産価格が将来収益の割引現在価値だという話からはじまって、貸借対照表、株式会社の資金調達、キャピタルゲインの性格、といった基本的な問題が、経済学の基本的な考え方に従って叙述されている。

結論部分では、国民経済が低成長にとどまる場合であっても、株の資産価値はそれを上回って上昇し続けることは可能で、そこでは配当利回りの高さが重要だということが説明される。叙述は、簡単だとはいえないが、きちんと順を追って読んでいけば、ほとんど予備知識のない人でも理解可能なレベル。「相場予想」「銘柄予想」に振り回される前に読んでおくべき本。