コレクションに見る「手わざ」の美

「コレクションに見る「手わざ」の美」、京都国立近代美術館

こちらは特別展ではないほうの小展示。特別展のアール・アンド・クラフツと連動していて、工芸と絵画に見られる「手わざ」を見せるという趣旨の展示。

中心になっているのは下村良之介で、この人の絵は初めて見た。しかしこの人の絵はとてもいい。紙やキャンバスの上に絵の具を塗っていくのではなくて、紙粘土と接着剤でつくった下地を型押しして、それをいろんな道具で成形している。一種の紙粘土細工なのだが、立体感があって、その迫力が押し寄せてくるような感じ。月(全部満月)をモチーフにした作品が多いが、この月の質感が、空に浮いている平面的な月でなくて、月に着陸した宇宙船から下りて月の地面を踏みつけているような、鉱物的な感触。この美術館で8月まで展覧会をやっていたらしいのだが、見損なってざんねん。