狩野派と近世絵画 ~壮麗と瀟洒と~

狩野派と近世絵画 ~壮麗と瀟洒と~」、相国寺承天閣美術館

承天閣美術館の所蔵品の展覧会。11月までが前期、12月から来年3月までが後期で、展示替えをやるようだ。狩野派を中心に、同時期の長谷川派や原在中、土佐派の絵や関係のある人物の書などがかかっている。あわせて所蔵品の中の茶碗が「名碗三十点」として並べてある。相国寺狩野派といえば、法堂の天井に描かれた狩野光信の蟠龍図だが、他にもたくさんもっているのだ。

狩野探幽「探幽縮図」がおもしろかった。狩野探幽の画帳で、20cm×20cmくらいの紙にいろんなスケッチが描かれている。50代から60代くらいの年齢になってから描かれたということ。巨匠といわれるような絵描きは、えらくなっても研鑽をおこたらないのである。

ほかに目をひいたのは、狩野派の無名氏の作、「御即位図屏風」「籬に菊・鶏図屏風」。前者は天皇即位式を描いたもの。幕末まで続いた「唐風の」即位式の模様がよくわかっておもしろい。ちゃんと唐風の飾り物や衣装で即位式をやっている。子供が遊んでいるところも描き込まれていて、明治以降のそれとはかなり違っていることが一目でわかる。後者は、詩に出てくる画題を描いたもので、鶏の描き込みがすごい。今にも走りだしそうな感じ。

館内は当然ながらエアコンがガンガンきいていて、エアコンから離れられない自分にはとても居心地よし。お寺で参拝者が入れるようなところには普通はエアコンないし。平日の館内は人もほとんどいないので、のびのびしほうだいである。後期の展示も行ってみなければ。帰りに相国寺派の雑誌をもらって帰る。