有頂天家族

有頂天家族森見登美彦幻冬社、2007

ずいぶん前に図書館に予約を入れておいたものがようやく来た。森見登美彦は人気なので、予約を入れていてもなかなか順番がまわってこないのだ。

今回の登場人物は、狸、天狗、そして人間。主人公は狸の矢三郎。で、矢三郎の下鴨家(狸)と張り合う夷川家(狸)とか、天狗の赤玉先生(赤玉ポートワインってうまいのか?)とか、狸鍋にする狸を探している金曜倶楽部(人間)とか、そういうものが乱取り状態。登場人物のキャラクターが立っていて、どれも魅力がある。狸が叡山電車に化けて寺町通りを疾走するラストの章のスピード感は、「夜は短し歩けよ乙女」に続いて健在(ここの描写はちょっと二番煎じっぽい気もする)。

この本も、話の舞台は京都市中心部の東北エリア、半径2キロもないような狭いところで、固有の地名が頻出する。「出町商店街」って言われて、京都のそっちのほうに住んでいる人でない読者にそこがどんなところかわかるのか?いちいち注釈で説明しているわけでもないのに。まあ自分的にはおもしろいからいいけど。以前住んでいた町名も出てきてちょっとなつかしい。

自分としては「夜は短し」のほうが出来はよいと思うが、これもけっこうたのしめた。続編も書かれているようなのでそちらもたのしみ。いつになるかはわからないが。