日本の有名一族

『日本の有名一族』小谷野敦、幻冬舎新書、2007

小谷野敦による「系図集」。著者は子供の頃から系図好きだったそうで、中学生の頃から歴史小説を読んでは登場人物の系図を作っていたのだという。この本で取り上げられているのは、政治家や財界人をはじめとして、作家、文筆業関係、学者、伝統芸能（歌舞伎、能、落語）ら、特に作家関係が詳しく書かれているので貴重。政治家や財界人の系図はほかにもけっこうあるが、政財界関係者だけでなく、学者とか俳優とかをかなり遠縁まで探して載せているので、知らなかった縁戚関係とか、財界人と学者が固まってつながっていたりとか、いろいろわかって楽しめる。自分の知り合いが関係しているらしい家系もいくつか見つかって感心。
というか、この系図集を作るのにはたいへんな手間がかかっているはず。巻末の文献リストを一覧しただけでもわかる。本当の系図好きというか系図オタクにしか作れない本だろう。特に政治家、財界人以外の閨閥関係は興味のある人しか調べないから、そういう意味でも貴重な本だといえる。