眠狂四郎悪女狩り

眠狂四郎悪女狩り」、市川雷蔵藤村志保ほか出演、池広一夫監督、大映、1969

シリーズ第12作でこれが最終作。大奥の権力争いにからんで、年寄の久保菜穂子と大目付小池朝雄が手を組んで隠れキリシタン江原真二郎を使って偽狂四郎に仕立て、邪魔な者を殺しまくるという話。江原真二郎のつけている狂四郎の仮面と称するものはどう見てもただのお面で、妹の藤村志保が兄と狂四郎を間違えるというエピソードにはぜんぜん納得いかない。お面は間抜けなだけなので、ない方がよかった。面をつけた大奥の女が狂四郎を取り囲むアイディアはよいが、なんで鳥のかっこうをしなきゃいけないのかもよくわからない。久保菜穂子は邪悪、権力欲と淫欲まみれでとんでもない女というのはあいかわらず。藤村志保はけなげできれいなのもあいかわらず。
女優は二人のほか、朝丘雪路松尾嘉代吉田日出子、長谷川待子ほかけっこう豪華な顔ぶれだが、ストーリーも演技もまあ普通。しかし相当体調が悪かったであろう状態で、それをみじんも感じさせない雷蔵はさすが。いろんな俳優がやっている眠狂四郎だが、これを12本見てしまうと、他の役者による眠狂四郎は考えられない。片岡孝夫田村正和のものはこれ以前に見ているのだが、市川雷蔵に敵する出来ではない。