戦争の見せ方

『戦争の見せ方』三野正洋、ワールドフォトプレス、2007

戦争宣伝についての本。「国家は戦争をどう伝えたか」「戦争報道とその真実」の二部立てになっていて、指導者の演説、放送での対敵宣伝、勲章、戦争博物館などのトピックについて、写真と文章が載っている。
しかし、この本はちょっとひどい。文章が非常にいいかげんで、内容が薄い。どの部分についても、突っ込んだ情報の集め方や検討がされておらず、そんなのちょっと見れば書けるでしょという感じの文章が続く。読んでいてだんだん頭が痛くなってくる。間違いも多い。「ゲッペルス宣伝相」(全部がこの表記になっているので、誤植ということはない。編集者は直さないのか?)、「ロンメルは自殺を強要されて、その後元帥に昇進」「日本は満州を植民地としてその主権を要求」等々、すぐにわかるような誤った記述が頻出する。ほかにも「北京の革命軍事博物館には日中戦争や国共戦についての展示がほとんどない」(建物の2階のかなりの部分はその展示ばっかりだが?)、「山本五十六の戦死に際して授与された、従三位、勲一等、功二級などがどのように異なるのかさっぱりわからない」(日本のことなんだから、調べろよ)とか、疑問を感じる部分が多々ある。いい加減に、というか基本的な知識なしで本を書いているとしか思われない。
唯一ほめてもいいところは、豊富な図版だが、写真に著作権の表示がひとつもない(湾岸戦争イラク戦争などの写真も載っているにもかかわらず)のはどういうことか。権利関係はだいじょうぶなのか?