雛まつりとお人形・仏師 清水隆慶

「雛まつりとお人形」「仏師 清水隆慶─老いらくのてんごう─」展、京都国立博物館

こちらは京博の平常展示館のほうの「特別陳列」。「雛まつりとお人形」のほうは、さすがに京都の博物館らしく、男雛が向かって右、女雛が向かって左の京風雛人形が多い。というか現在の形式は昭和に入ってからのものなので、昔の雛飾りが「京風」なのはあたりまえなのだが。いろいろ豪華な雛飾りがあったのだが、内裏雛が大礼服、馬車に護衛兵のついた雛飾りがものめずらしく、けっこう真剣に眺めてました。もちろん車列は段飾りにはおさまらないので、その部分はくの字のように曲がった形でひな壇から伸びている。雛飾りとおもちゃの兵隊の中間物のような感じ。
「仏師 清水隆慶」のほうは、江戸時代17世紀から18世紀にかけて生きていた清水隆慶(初代、二代)の主に仏像作品以外の作品を集めたもの。「老いらくのてんごう」というのは「老人のいたずら」というような意味だそうな。いろんな職業の人を模した「百人一衆」がかわいく、おもしろい。ほかに「関羽像」があったのだが、関羽のトレードマークの「髯」がない。ただの中華風武者人形である。「通俗三国志」だって関羽の髯のエピソードは載っていたので作者が髯のことを知らなかったわけはないと思うが…。千利休とか西行とか髑髏とか、いろいろあっておもしろかった。特に髑髏は標本のように緻密につくってあって、作者の観察眼の確かさをうかがわせる。