憧れのヨーロッパ陶磁

「憧れのヨーロッパ陶磁─マイセン・セーヴル・ミントンとの出会い─」、京都国立博物館

江戸時代から明治初期あたりの、日本(東洋)陶磁と同時期の西洋陶磁の展覧会。お互いがどういう影響を与えあったかを中心的なテーマにしていて、東洋陶磁が西洋陶磁に影響を与え、それから東洋が西洋の真似をするようになる(こっちは輸出による外貨獲得が主要な目的だろう)プロセスが目に見えるように陳列されている。特に明治になって日本が西洋陶磁の模倣に必死で取り組んでいたことが印象的。セーブル製の瑠璃地の花瓶一対を手に入れるのに、日本の古陶磁69点と交換しなければならなかったというから、涙ものである。その瑠璃地の花瓶が陳列されていたが、確かに美品。しかし、交換してきた一行にとっては、さぞやくやしかったのだろう。
それから、アジア旅行の途中で日本を訪問していっぺんで日本びいきとなり、京博に数十点の陶磁を寄贈してくれた「フリッツ・ホッホベルク伯」には、「親切な人である」「よくよく親切な人である」「本当に親切な人である」という感謝というか、賛嘆の辞が。何でも、寄贈品の一部が輸送途中で壊れたことを伝えると、追加の寄贈をしてくれたり、京博の側から寄贈をおねだりしたりしていたのだそうだ。日本人もあつかましいというか、ホッホベルク伯爵が善人すぎというか…。
参考展示で、現代のマイセンの陶磁器やガラス器をテーブルセットとして19世紀風に陳列していたが、ああいうものを見ていると、物欲を刺激されるのでとっても困る…。出口で実物を売ってるし。