エミリー・ウングワレー展

エミリー・ウングワレー展」、国立国際美術館

オーストラリア、アボリジニの作家。ぜんぜん名前も知らない人。作品は完全に抽象画で、点描画とうねうねとまがりくねった線で描かれた絵がほとんど。なぐり描きみたいな絵もけっこうある。色彩になんともいえない魅力があり、点描の絵は少し距離を置いてみていると、へんな草でも吸っているような感じに…。
驚くのはこの人は1996年に亡くなっているのだが、絵を描き始めたのは1988年からで、それから8年間で3000枚から4000枚くらい描いたという話。ほぼ一日一点描いたことになる。まあなぐり描きみたいなのはそれでも描けるだろうけど、展覧会にあったのはこんなの何ヶ月かはかかるでしょうというような細かい絵、大きな絵ばっかり。しかも正規の美術教育はまったく受けておらず、西洋美術の歴史などもまったく知らないという人。完全に思いつきと生まれた部族集団の伝統の中だけでこれだけ描いてるのだ。人間の底力はおそろしや。