ドイツ本土戦略爆撃

『ドイツ本土戦略爆撃』大内健二、光人社NF文庫、2006

日本の空襲による死者が約30万人弱(原爆による死者は直接の被害者だけ)、ではドイツではどのくらいの被害者が?という疑問がおこって、取り寄せて読んでみた。やはりドイツへの爆撃は日本とは比べ物にならない。爆弾投下量で約10倍(多少異説があるようだが)である。死者は70万人なので、投下量に対する比としては日本より小さいが、目標が違うこと、都市の脆弱性、防空戦力ほかいろいろ違う要素があるので、ドイツの健闘は際立っている。日本への本格的な爆撃はマリアナ諸島が陥落してしばらくたった後からでほぼ10ヶ月、それに対してドイツは3年以上やられているのだ。
連合軍側の爆撃作戦に重点をおきながら、ドイツ側の防空作戦にも言及し、イギリスとアメリカの戦略爆撃に対する方針の違い、爆撃の効果などいろいろなことが簡潔にわかる便利な本。日本ではドイツ爆撃についての本が少ないので貴重。