身体を通して時代を読む 武術的立場

『身体を通して時代を読む 武術的立場』甲野善紀内田樹、バジリコ、2006

武術家の甲野善紀(この本の著者紹介では「武術研究者」となっている)と内田樹の対談本。これはすなおに読めて、かつおもしろかった。プロの武術家で、やっていることの内容をきちんと言葉にして説明している人は少ないが、甲野善紀はそれがきちんとできる人。内田樹は書いたり話したりするほうはプロだし(内田の文章は、読者の気持ちにすっと入っていける力において群を抜いていると思う。たぶん話のほうはもっと力があるだろう)、しかも自身が武術家でもあるので、読んでいてもつばぜり合いの緊張感が伝わってくるようだ。
身体の次元と社会の次元がちゃんとつながっていることをあらためて実感させられる本。もっとも自分は体を動かすことをほとんどしないので、この本に書いてあることをきちんとした意味ではわかっていないだろうが。