集団的自衛権とは何か

集団的自衛権とは何か』豊下楢彦岩波新書、2007

集団的自衛権について、その国連での成立過程から日本における解釈の変遷などを概観した本。概観といっても、作業はけっこう緻密になされていて、国連での議論や日本政府の立場については非常に勉強になった。もっとも日米同盟自体に批判的な著者のことなので、終章「日本外交のオルタナティヴを求めて」はちょっと苦笑せざるを得ないレベルの話をしているし、ミサイル防衛についての著者の知識はメチャクチャである。まあ著者の立場からするとこういう話をせざるを得ないのだろう。しかし、その点を差し引いても読む価値のある本だということは確か。知識の整理にも、問題の把握にも役に立つ。