日本の情報機関

『日本の情報機関』黒井文太郎、講談社+α新書、2007

以前『軍事研究』誌の別冊で出ていたものを単行本にまとめなおしたもの。日本の情報機関が「どういう組織構成になっているのか」についてだいたいのことがわかる。しかし、「何がどこまでわかっているのか」については、この問題についてのエピソードが少ないためもあり、霧の向こうにうすぼんやりとした姿が見えているだけである。ことの性質上、やむをえないといえばそうなのだが、こういう問題については退職した関係者が、現在の情報収集に差し障りのない範囲で書けるだけのことを書くべきだと思う。もちろん佐々淳行とか何人かいないわけではないが、より多くの人が情報収集活動の実態と問題点をはっきりした形でアピールしないと、いつまでたってもこの問題は先に進まないだろう。