背水の陣

『背水の陣』赤瀬川原平日経BP社、2003

『日経エコロジー』(そんな雑誌が出ているとは知らなかった)の連載エッセイをまとめたもの。なので、内容もなにがしか環境問題にからめたものになっている。一番うなずかされたのは、「死んだらもう眠れなくなる」という題の一編。死のことを永眠ともいうが、死ぬことと眠ることは違う。そして生きている時間のうち眠ることくらい貴重で幸せな時間はそれほどない。それを眠っている時間をムダな時間だと考えてしまうのは、頭の考えすぎなのだと著者は言う。「論理の隙だらけの背中」とも著者はいうが、そのとおり、論理は隙だらけである。それを知っていて論理を使っている分にはいいが、そうでないとひょいと足元をすくわれる。そして目も当てられないさまになるのである。