日本有事

「日本有事」兵頭二十八PHP、2006

兵頭二十八の本にしてはめずらしくハズレ。ちょっと出し殻というか、あまりおもしろいネタがない。論旨もところどころ強引にすぎるところがある。幕末の下層武士階層の革命を「リベラル」と呼ぶのはちょっとムリ。しかし、北朝鮮も中国も、「暴発」だの「戦争」だのといったことを仕掛けることはないだろうという主張はそのとおりだろうと思う。正面から反撃を受けるようなことを仕掛けてくるのは(特に「弱者」の北朝鮮にとっては)、賢いことではないという判断くらいはできるだろう。だから備えなければいけないのは、正規戦と平時のあいだの「境界的事態」だという著者の判断はたぶん間違っていない。もっとも、それは自衛隊がどうするかという以前に政治の問題だということもそのとおりなのだが。