水精

『水精』花輪和一ペヨトル工房、1991

花輪和一の「中世もの」。あいかわらず全編ドロンドロンしている。だいたい時代的には平安期あたりの作品がほとんど。いろいろおもしろいが、やはり表題作の「水精」がいちばんよい。水精が尻の穴からからだにもぐりこんでいくところも気持ち悪いが、館の親子が「砂金浴」と称して裸で砂金を敷き詰めた床をころげまわっているところがいちばん気色が悪い。なさそうでなんとなくありそうなことのような気がする。主人公が床下から刀で一家の娘を両断してしまう場面にはなんともいえずすっきり。やっぱり花輪和一はこうでなくては。