色即ぜねれいしょん

色即ぜねれいしょんみうらじゅん光文社文庫、2007

みうらじゅんの「青春もの」。高校1年生が「フリーセックスの島」という言葉につられて隠岐に旅行に行き、いろいろあるというおはなし。高校1年生の男なんて性欲以外のことはほぼ何も考えてないから、そのあたりの描写はちょっと身につまされるものがある。みうらじゅん全共闘の時期からは年齢的に外れているが、まだ残り香のあった世代だからそのあたりのことも少しにおわされている。女の子とのエピソードは何も起こらないところがよし。文化祭のライブのエピソードはうまく作ってあってちょっとホロリとする。最後についているのはあとがきかと思いきや、みうらじゅんは実際に隠岐にいっていて、30年以上たってからそこを訪ねてみたときの話がのっている。浦島太郎のような結末で、しみじみさせられる。良作ですね。