時刻表ひとり旅

宮脇俊三『時刻表ひとり旅』、講談社現代新書、1981

本屋で帯に「名著復刊」とあったのでひょいと買ってしまった。宮脇俊三は名前は知っていたが、いままで本を読んだことはなかった。『時刻表2万キロ』も読んでいない。しかしこの本はよい。まだ分割民営化が行われる前の国鉄時代の話である。今では廃止された路線や列車もたくさん出てくる。それを眺めているだけでなんともいえずなつかしい気持ちにさせられる。
また文章が非常に品がいい。宮脇は今で言う鉄オタのはしりだった人だが、昔の趣味のいい人はこういう文章を書いていたんだなあと感じさせる。てらいやけれん味がなく、たんたんとした文章で、それでいながら鉄道に対する愛着と深い知識が感じられる。巻末に原武史の解説がついていて、これがまた味があっていい。