明治天皇と日露大戦争

明治天皇と日露大戦争」、嵐寛寿郎主演、渡辺邦男監督、新東宝、1957

むかしむかし子どものころに見たはず。内容はほとんど覚えていなかったが、アラカン明治天皇が出征兵士にいたわりの声をかける(笑)場面を見て、こりゃ見たわ、と思い出した。内容はもうアラカン、アラカン、アラカンの嵐。御前会議では内閣、陸海軍合同の開戦提案を一度はけっとばしたり、おしのびで兵士を慰問(兵士はもちろん陛下だとわかってる)したり、ふたことめには、「国民にすまぬぞ」の連発。それから、御製の山。いちいち節をつけて歌ってる。やはり太平洋戦争からそんなに時間がたってない時に、天皇と戦争を描くとこうなるんですねぇ。
国民はもちろん一致団結、戦争バンザーイしか言わない。当然日比谷焼き打ち事件など全く無視。もう痛快というか、とにかくスカッとする映画。2時間で日露戦争全部を描き、もちろん旅順戦、奉天会戦日本海海戦にはそれなりに時間を割かなければいけないので、ほかのところは大急ぎで飛ばしている。まあダラダラ長くするよりはそのほうがいいか。鈴木静一の音楽はやたらカッコイイ。特撮はかなりうまく撮っている。俳優は山ほど出ていて、いちいち肩書きつきでクレジットが出てくるので目が回りそう。宇津井健が広瀬中佐で、キリヤマ隊長中山昭二が伊地知参謀長、端役で勝新まで出ている。エキストラは、CGじゃないの?と思うくらいいっぱい。昔の映画はいいなあ。