京都でのんびり

小林由枝『京都でのんびり』、祥伝社黄金文庫、2006

最近数冊京都本を買ったらはずればかりで、あたりはこれだけ。しかしこれはけっこうおもしろかったのでよかった。著者は京都在住の人なので、出ていることがこまかいし、観光客が立ち入らないようなところでもきちんと書いてあるところがよし。エリアはかなり限定で、東山方面と、あとは北野、西陣方面くらい。東山方面はある程度広いけど、だいたい歩いていけるくらいの広さがカバーしてある。実際、京都に住んでいる人も、自分の住んでいるエリアのほかは大して知らないのでこんなものなのである。それを観光客のいくところを全部カバーしようとすると、通りいっぺんのことや有名店しかのせられなくなるので、中身がつまらなくなる。このへんの割りきりがだいじ。文章とイラストをまぜた本だが、イラストは文の雰囲気にあっていて、いい感じ。ほとんどの固有名詞にきちんとふりがなが振ってある気遣いもよい。巻末には精密な地図がついていて、文中で紹介されたところがきちんとわかる(これ大事)。かゆいところに手が届くような本。