公明党VS.創価学会

島田裕巳公明党VS.創価学会』、朝日新書、2007

題名にVS.と入っていることに奇異な感じをもったが、本の中で説明されているように、公明党創価学会の単なる丸抱え組織ではなく、両者の間にはさまざまな複雑な経緯があったことがていねいに説明されている。公明党に関してはまとまった本が皆無に近いので、非常に役に立つ本。著者は宗教学者で、政治学専門の人ではないが、公明党を扱った政治分析の論文にもよく目を通しており、バランスの取れた記述をしている。
自民公明連立が公明党にどういう影響を及ぼしているか、公明党の側から見ると将来連立相手を乗り換える可能性はあるのかどうか、池田大作が死去するようなことがあればその影響はどうなるか、といった問題について、この本のおかげできちんと考えを詰めることができるようになった。著者はこれと別に創価学会についても本を書いているので、そちらも手に入れて見なければ。