環境問題のウソ

池田清彦『環境問題のウソ』、ちくまプリマー新書、2006

地球温暖化ダイオキシン外来種規制、自然保護の四つの問題について、生物学者が一般常識に挑戦する、という本。地球温暖化は人為的原因によるものではない、ダイオキシン放出の害はいわれているような重大なものではない、などかなり論争的な主張が展開されている。率直に言って、著者の主張の妥当性は自然科学系でない自分には判断できない。
しかし、地球温暖化ダイオキシン問題は著者の専門分野ではないし(それは著者自身が認めているが)、さらには著者自身のフィールドであるはずの外来種規制問題についても、著者の主張に対する批判は強いようだ。新書として出しているのだから、自然系では当然の前提知識がない者に対しても書かれているわけで、こういう論争的な主張を議論の全体像がわからないままで提示するというのはちょっとどうだろう。編集者、出版社の見識が問われるところだと思うが。