ミサイル不拡散

松本太『ミサイル不拡散』、文春新書、2007

ミサイル不拡散問題について、制度と実務の両面から簡潔に解説した本。核不拡散については多くの本があるのに、ミサイル不拡散問題については類書がほとんどないので貴重。著者は外務省でミサイル不拡散の実務に携わっていた人なので、その経験が豊富に盛り込まれているところもポイント。特に北朝鮮弾道ミサイル開発に多くの頁が割かれており、北朝鮮のミサイル開発が、国際的なネットワークの中でどのように進められてきたかを理解することができる。
問題の性格は核不拡散と同質だが、不拡散レジームの確立は非常に遅れている。有効なレジームは先進国による技術輸出管理に限定されており、ミサイルの開発、実験にはほとんど規制がない。著者は規制強化の必要性を説いているが、現実問題としては非常に困難だろう。いずれにせよ、この問題の深刻さを知るために非常に役に立つ好著。