世界の[下半身]経済が儲かる理由

門倉貴史『世界の[下半身]経済が儲かる理由』、アスペクト、2007

セックス産業に焦点をしぼって、日本および外国での産業規模と業態を概観した本。セックス産業は、「業態」は広告その他でわかっても、「産業規模」については信頼できる統計が発表されているわけではないから、推計はめんどうだ。公表されている統計から計算する場合でも、どの程度のパラメータをあてるかで数字が違うから、ある程度のフィールドワークも必要で、その点、著者の努力は敬意をはらうに値すると思う。もっともあまり分析的な本ではないので、推計された数字から何かを結論づけようとする志向は薄い。最後の章は著者の政策提言にあてられているが、この部分はちょっと切れ味がおちている。例えばセックス産業は禁止すると地下にもぐるので、ゾーニング規制をしいた上で合法化しようという主張を掲げているのだが、子供ポルノについては禁止と教育的矯正を主張しているのは矛盾していないか?