だぁれも知らない

中谷美紀『だぁれも知らない』、小学館、2002

中谷美紀の絵本。絵は中谷自身が描いているのだが、具体的なものを描いたものはひとつもない。しかしこの絵本の内容にはぴったりはまっていると思う。ストーリーは、ホームレスの婆とそれを見ている子供の話で、こういうものは踏み間違えるとありがちな偽善っぽい話になりやすい。そこを手前のところで踏みとどまっていることで、いい味が出ている。中谷のインド旅行記と併せて読むと(内容的なつながりはまったくないが)、中谷がインドにひとりで出かけることがとても納得がいくような気がする。視線の角度が同じなのだ。