北朝鮮に備える軍事学

黒井文太郎『北朝鮮に備える軍事学』、講談社+α新書、2006

北朝鮮がからむ戦争や海上封鎖の場合に、日本及びアメリカの対処はどこまでできているのかという問題についての解説本。この種の本は多く書かれているので新情報といえるものはそれほどないが、北朝鮮の核、ミサイル開発の進度、アメリカの戦争計画、北朝鮮に対する情報収集体制、海上封鎖が行われる場合の日本側の問題といったことに関しては、比較的有益な情報があるので類書をあまりさらっていない人には便利な本だろう。実際、北朝鮮がらみの武力紛争かそれに近い事態に際して日本が後方支援以上のことができるとはあまり考えられないので、著者の結論はまあ妥当なところだと思う。しかし、著者が懸念する、北朝鮮がノドンに核弾頭を搭載できる状態が迫ったとして、日本側に現実に何ができるかといえば何もできないように思うのだが…。