民団+総連の「和解」のウラで何が起っていたのか!?

統一日報編集部(編著)『民団+総連の「和解」のウラで何が起っていたのか!?』、洋泉社、2006

2006年の民団による朝鮮総連との電撃的な「和解」発表とその後の民団内紛劇のてんまつを、在日韓国人向けの新聞「統一日報」の記事を再構成することで追い掛けた本。通常の新聞には出ていない民団内部の様子をある程度細かく知ることができる。
2006年2月の民団団長選挙ではこのような形での総連との手打ちはまったく争点にされていないこと、民団の河団長の訪韓後に急にこの問題が持ち出されていることから、言われているとおり、韓国政府の意向が背景にあるという見当はつく。しかしそれだけではなく、河団長が総連の影響下にあった経歴を隠していた事実、他の新聞(ハンギョレ)とのインタビューで以前からこの行動の構想を持っていたと語っていたことなどから、北朝鮮の意向からも直接影響を受けているようだ。
さらに背後には、北朝鮮と関係する統一教会も動いていて、どうも北朝鮮と韓国の現政権が一体となって民団乗っ取りがはかられていたようだ。結局このもくろみは失敗するのだが、総連だけでなく、民団も内部の状況は外からは非常によく見えない事実を再認識させられる。